コンビニ運営ノウハウ

コンビニオーナーの人手不足対策法①

商売をする上で、人材不足で悩んでいるオーナー経営者は多いと思います。

というか悩まない人なんているのでしょうか。

時にオーナーは人材不足で無理して身体を壊したり、廃業に追い込まれる事も少なくありません。

人の問題に一切悩む事なく、目の前の仕事に集中出来たらどんなにいいでしょう。

でも、そんな事は起こりません。商売をする以上、必ず人と向き合っていかなければいけないのです。

大企業だろうが個人事業主だろうが関係ありません。社長もアルバイトもペットだって誰かに悩まされているのです。

悩みがゼロになる事はありませんが、上手に向き合い、悩みを少なくする事は出来ます。

私がこれまでの経験からたどり着いたその向き合い方の答えとは

  1. 人が集まる環境づくり
  2. 人が育つ環境づくり
  3. 1と2を止めないこと

です。

解説する前に前提として、これまでの私の経験から学んだ「人材」の考え方を書きます。

商売にかかせない、「人材」。

きちんと把握し、向き合っていく必要があります。

前提-人材への考え方

人材に対する経営者視点での考え方が重要になってきます。

スタッフもお客様(顧客)

商売をする上で、集客は成功する為に最も大切な事です。「顧客」がいなければ売上も利益も発生しません。

この、「顧客」は、自店のスタッフも含まれています。

「スタッフは家族だ」なんて言う社長やオーナーはいますが、これを誤解してはいけません。

家族だから

「言わなくても分かってくれる」

「自分が辛い時は助けてくれる」

なんて思っても応えてくれる人なんてそうそういません。

ホントの家族なら自分を犠牲にして、損しても協力してくれるでしょうが、スタッフはどこまでいっても他人です。

例え表面上は協力してくれていても、心の中は分かりません。

経営者として、そんなスタッフに甘えて怠けてはいけません。

スタッフも顧客です。どうしたら顧客が来てくれるのか、どうしたら顧客が喜んでくれるのかを常に考えていかなければいけません。

人は変わる

「ずっとオーナーについていきます!」

なんて事を言ってくれるスタッフがいると、なんだか頼もしくなりますね。

「こいつを右腕として育てていずれ事業を任せたり出来たらいいなぁ」なんて将来に期待をしてみたりするかもしれません。

ですが、こんな言葉に耳を傾けてはいけません。

嘘だとまでは言いませんが、聞こえのいい言葉に安心して怠けてしまうオーナーほど愚かな事はありません。

スタッフ一人ひとりには、人生があります。時には転機を迎える事もあるでしょう。

何かのきっかけで考え方や環境が変わると、人はモチベーションも変わります。

結婚して転居するかもしれません。遠くに引っ越しするかもしれません。

今以上の収入が見込める仕事に就くかもしれません。今の環境に満足せず、独立をするかもしれません。

そういう時に「ずっとついていくって言ってたじゃないか!」なんて裏切られた気分になってしまいます。

これはただの「八つ当たり」です。

誰だって自分や守るべき家族等を一番大切にします。

仕事が「最優先事項」ではないのです。あくまで自分の生活や人生が最優先なのです。

商売と考え方は同じ

少し表現が冷たくなってしまったかもしれません。

ですが、経営者としてドライな考え方を持っておく事は大切な事です。

一切期待しないとか、信用しないとか、冷たくするとか、そういう事をしろと言ってるワケじゃありません。

スタッフも顧客と言いました。顧客として考えた場合、

より多くのお客様に来て頂き、満足度を上げる事を考えるのと同じように、より多くのスタッフに来て頂き、満足度を上げる事を考えなければいけません。

また、

よりよい品揃えや、来店して頂いたお客様に良いサービスを提供する事を考えるのと同じように、働いてくれるスタッフにより良い待遇や付加価値を提供していくにはどうしたらいいか考えるべきです。

オーナーと雇用者の関係性

オーナーがスタッフに提供するもの
=給料や働きやすい環境の提供+やりがいや達成感等の承認欲求を満たす事

スタッフがオーナーに提供するもの
=仕事を通してのお店や社会へ貢献する事

仕組みを意識する

そして、「仕組み」を意識して、指導や業務指示を徹底的にしましょう。

仕組みを作るだけではいけません。人も社会も常に変わっていきます。常に改良をしていく必要があります。昨日のマニュアルが明日通用しなくなる事もあります。

仕組みを意識して、その仕組みをより磨く努力を怠ってはいけません。

前提をきちんと把握した上で、次から本題の解説です。

本題-1 人が集まる環境づくり

お店に自然と人が集まる環境にあれば、求人広告代も払わずに済むし、人手不足に困る事はありません。

人を集める(=人気を出す)にはどうするか。いきなり結論ですが、それは

「お店の評判」を上げる事です。

お店の評判はどうやったら上がるでしょうか。宣伝広告?お店の看板?オーナーの魅力?

どれも違います。評判を決めるのは人の印象です。ここでの人とは顧客である「お客様」と、働く「スタッフです。

スタッフに笑顔で働いてもらう事で、来店客に雰囲気の良さを感じてもらう事が評判を上げるのに最も効果的です。

お客様はお店の雰囲気やスタッフを見ています。コンビニで働く人の中には、「家から近い」、「通学路沿いにあるから」といった理由で来てくれる方も数多くいます。その方達は、お客様として利用している可能性が大いにあります。

スタッフの表情に余裕がなく、暗い顔をしてつまらない顔をしているお店に通うお客様が、どうしてその店で働きたいと思うでしょう。

職場なんて探せばいくらでもあります。数ある職場の中から自分の職場を選んでもらわないといけません。

なんとなく雰囲気良さそうだしここで働こうかな」なんて思ってくれる人が月に1人でもいればオーナーは「今、人がいっぱいなんです、申し訳ありません」と、頭を下げなくてはいけなくなり、大変困る事でしょう。

この「なんとなく」というきっかけを作り出す要素がスタッフの笑顔であり、職場の雰囲気です。

スタッフが笑顔になる職場とは

とはいえ仕事ですから、笑顔で働いてもらうのは一筋縄ではいきません。

「笑顔=満足度」

です。スタッフの満足度を上げるにはどうすべきか。スタッフが望む対価とは?

スタッフが希望する対価

スタッフが思う良い職場とはどんな職場かを考えてみます。

  • 給与が高い
  • 福利厚生が充実している
  • 仕事が楽
  • 人間関係が良い
  • 怒られない
  • 好きな時に休める
  • やりがいがある

などでしょうか。

基本的に、人はお金が欲しいから働きます。無給で働いてくれる人なんていません。

どこよりも高い給料を払い、楽な仕事しかさせなければ人には困らないかもしれません。

ですが、自店と比べて人件費をより多く出せる会社やお店なんていくらでもあります。また楽な仕事しか任せないのであればスタッフのレベルは低下し、お店の売上や利益が悪化しかねません。

給与水準や仕事の質で他より優位になろうとするのは、コンビニという業態では現実的ではありません。

オーナーが用意出来る対価

では、オーナーが用意するべき対価とは何でしょうか。

オーナーの本音としては、経費は極力下げたい所です。当たり前ですが、経費が下がれば利益は上がります。

でも人件費を抑えようとするのはスタッフの満足度の低下に繋がります。

人件費を捻出する為に売上が下がってでも廃棄の金額を抑えますか?
オーナーがシフトに長く入る事で人件費を節約し、スタッフの給与に回しますか?

どちらも私はしたくありません。それでは何の為にオーナーになったのかわかりません。

全てに応える事は出来ない

スタッフ一人ひとりが望む事全てを叶える事はオーナーには不可能なのです。

オーナーの目的は、「利益を出す事」です。利益を出してこそスタッフへの還元が出来るようになります。

自分の目的を見失わないようにしましょう。

では、オーナーがやるべき事は何なのかというと、「付加価値」をスタッフに提供する事です。

付加価値を対価として提供しよう

ここでの付加価値とは、「働いてくれるスタッフに給与以外のお店独自の価値を付けること」です。

簡単に言うと、経費をかけずにスタッフに満足してもらう方法を考えます。

スタッフにはとても聞かせられませんが…

オーナーが、スタッフに提供できる事は何があるか、徹底的に考えましょう。

  • 無駄や余計な仕事を排除し、仕事の効率を上げる
  • お店にある福利厚生を使ってもらうように積極的にアピールする
  • スタッフの性格に合わせて、やりがいを感じられる仕事をさせてみる
  • オーナーが経営の事を教えてあげる
  • お店や事務所を綺麗に、清潔にしておく
  • オーナー自ら明るく振る舞い、偉そうにしない
  • 廃棄商品はこっそりあげる

これらは一例ですが、経費は一切かかりません。一つ一つはとるに足らない事かもしれませんが、積み重なると意外とスタッフは喜んでくれます。

福利厚生にしても加盟するチェーンによって内容は変わると思いますが、スタッフが利用できる制度は数多くあるはずです。それも毎月支払う高いロイヤリティから出来ています。使わないと損です。

「こんな事やったってスタッフは騙されないぞ!」

なんて思われるかもしれません。ですが、スタッフへの細やかな配慮は必ず伝わります。

そしてやってみるとけっこう手間で面倒に感じる事も多いです。人材に困っていないのならやる必要はないでしょう。

しかし困っているのなら、経営者として、出来る事は全てやるべきです。そして積み重ねたスタッフへの配慮は、「オーナーの運営するお店は働きやすい職場」となり、それは競合優位性になります。立派な資産です。将来必ず利益となって返ってくる事でしょう。

大切なのは、オーナー自身がスタッフがもっと満足してくれるにはどうしたらいいか常に考える事、その姿勢です。

「スタッフの為に一生懸命考えてやってる」なんて思ってはいけません。

気付いてくれるスタッフは0人かもしれません。

でも、この姿勢を忘れなければ必ずお店は変わります。

一人ずつ丁寧に対応していく

オーナーがスタッフ全員の希望や待遇を望み通りにする事は出来ないと書きました。

ですが、出来る事は可能な限りしてあげましょう。

当たり前ですが、スタッフは一人ひとり思考も環境も違います。

固定概念を捨てる

私は普段から、スタッフに対して「こうあるべきだ」と決めつけないようにしています。

生活環境や世代が違えば、価値観も変わります。

例えば、コミュニケーションツール。今はLINEなどの非同期通信ツールを仕事に使っていると思いますが、地方はなかなか遅れています。

「大切な事なんだから直接言いにくるのが常識でしょう。」

「退職をLINEで伝えるなんて失礼だと思わないのか」

何が常識で何が失礼なんでしょう。

電話や会う時間を取ってもらう事で相手の時間を奪うよりも、LINE等で伝えて相手が時間のある時に返信してもらう方がよほど配慮がある行動だと思います。

こんな事言っていると若いスタッフは定着しません。

特にコンビニで働くスタッフは、国籍・性別・年代などを問わずあらゆる人が働く環境です。

自分の価値観を押し付ける事なく、違う価値観を持つ人を尊重して接する事が大切です。

スタッフの変化に気付く

ある時スタッフはオーナーにサインを出します。

急によそよそしくなったり、シフトの希望時間を急に変更してみたり。今までやる気満々だったスタッフが急に消極的になる事もあるかもしれません。

「急にこんな事されるとお店が困る」なんて憤慨したくもなりますが、冷静になりましょう。

その変化は、スタッフの「救難信号」です。

スタッフは、助けを求めているのです。

経験を積んだオーナーは、そのスタッフが出す信号に気付く事が出来ます。

「気付く」というのは、「違和感を覚える」という事です。

違和感を感じたらすぐに対応なければいけません。

例えば、仕事の経験があまりない学生や、おとなしくて自己主張が苦手なスタッフ。

仕事を頑張って稼ぎたいと思っているけど、頑張り方や、どう主張していいかが分からない人はコンビニには多いと思います。

「今どきの若い人は」なんて分かったような事を言ってはいけません。

誰だって最初は教えられて、経験を積んでいくのです。

社会の先輩としてアドバイスをしてあげましょう。

面倒な相談も多いです。休みだろうがなんだろうがお構いなしLINEで連絡が来るかもしれません。

ですが、オーナーは経営者です。仕事とプライベートはきっちり分けるなんて考えの経営者は絶対に成功しません。

まとめ

人が集まる環境を作るには、スタッフの満足度を上げる事でお店の評判を上げる事が大切

満足度を上げるために、待遇に付加価値をつけて提供しよう

スタッフもお客様として見て、細やかで丁寧は配慮をする事が大切

曖昧な表現も多々ありましたが、仕事も人間関係です。人が変われば対応も変わります。大切なのは考え方を意識しておくという事です。勘違いする方もいるかもしれませんが、下手に出なさいという事ではありません。

オーナーは給料を払って対価を得る、スタッフは労働をして対価を得ます。対等な関係です。同じ人間同士、対等な関係で良いコミュニケーションが取れる環境にしていきましょう。

続きはこちら「人が育つ環境づくり」