フランチャイズビジネスなんてよく分からないし、胡散臭いし、儲からないイメージしかないし・・・
なんて思っている人もいるでしょう。
まずはフランチャイズビジネスについてきちんと理解をしましょう。
現代社会において、人が起業する方法は3種類しかありません。
- ゼロイチ→ゼロから自分で立ち上げる
- 事業継承→事業を譲り受けるか買収する
- フランチャイズ→フランチャイズ本部に加盟する
ゼロイチ→ゼロから全て自分で立ち上げる
ゼロから立ち上げる事業は夢がありますね。夢も希望もリスクも無限大です。
頭脳明晰!気宇壮大!
大きな野望と夢があり、誰にも縛られたくない、経営能力に優れている人はこれ一択です。億万長者も夢じゃない。全てのリスクを負う代わりに成功報酬は全て自分のモノです。小さく始めてコツコツと始めるもよし、全てを掛けて大きな収穫を狙うもよし、全て自分次第です。
事業継承→誰かがやってる事業を譲り受ける、買収する
事業継承は、買収(M&Aともいいますね)はある程度の知識や資金が必要ですが、譲り受ける事が出来れば初期投資はかなり安く抑える事が出来ます。地方では慢性的な人手不足問題、年齢的な問題、後継者がいない問題等で悩んでいる経営者の方がけっこういらっしゃいます。これを発掘出来ればいいのですが、こういった情報はネットで調べてもほとんど出てきません。地方のビジネスが「遅れている」「可能性がある」などと言われている理由はこの辺に起因していると思います。
例えば私が住む地域でも、街の中心部で交通量も多い立地に立つ個人経営のパン屋さんがあったのですが、流行っているにも関わらず、体力的にきつくなってきたのと、後継者がいないという理由で閉店していました。元々好条件な立地の為、跡地には現在は有名チェーン店が入っています。閉店前に引き継ぐのと、閉店後に新たにかまえるのでは初期投資に大きな違いが出ます。
一度閉店すればお店を閉める方にも店舗の原状回復の費用や機材の撤去費用がかかります。そして新たに開業する人はまた機材を購入したりしなければいけません。引き継ぐ事が出来れば余計な費用はカット出来るので余計な費用を支払う必要がなくなります。
こういった情報はインターネットには出ません。閉店後に「空きテナント」として情報が出るだけです。閉店前にこういう情報を知る事が出来ればこれは大きなチャンスです。こういった情報はほとんどが地域で人脈と信用を少しずつ積み重ねる事でしか得られる事は出来ません。事業継承やM&Aの情報をまとめて発信している事業者もいますが、ほとんどが「売れ残り」です。良いビジネスはすぐに買い手がつくか、そもそも一般公開する前に誰かが手をつけてしまう事がほとんどと思っていていいでしょう。
不動産みたいですね。未経験者が何もないところからここを目指すのはあまり得策ではありません。
フランチャイズ(FCビジネス)
フランチャイズは、既に誰かが構築したシステムを「利用」して事業をするモデルです。
システムを構築した人をフランチャイジー(本部と呼ばれる事が多いですね)、システムをロイヤリティ(利用料)を払って加盟し、使用する人をフランチャイザーと呼びます。
ここではロイヤリティを支払うフランチャイザー側の立場に立って話をします。FCビジネスは、どういう本部と一緒に仕事をするか、その見極めが最重要です。そこをクリアしてしまえばリスクは他の起業方法と比べて圧倒的に低いです。
フランチャイズビジネスの流れとメリットデメリット
①本部を選ぶ→②説明会に参加して、面談等を行う→③加盟前の準備(資金調達や物件取得、事業計画作成等必要なこと)→④加盟金を支払って契約
③は本部によって様々です。ほとんど開業資金がかからないところから、数千万単位で用意しないといけないところもあります。
フランチャイズビジネスのメリット
- 既にシステムが出来上がっているので、ゼロから考える必要がない
- 本部のサポートがあるので、困っている事は相談出来る
フランチャイズビジネスのデメリット
- システム利用料を「ロイヤリティ」を払って使うため、コストが余計にかかる
- FC契約を交わす中で、様々な縛りが発生する
一つずつ見ていきましょう。
メリット
① 「既にシステムが出来上がっているので、ゼロから考える必要がない」
→方向性は全て本部が決めてるってことですね。一緒に走るだけです。
②本部のサポート体制
→経営指導の有無から、運営のサポートまで本部によって様々です。大手コンビニに加入している私の場合、経営指導、販促(近所にチラシ撒いたり、広告宣伝)、コールセンターによる一次クレームの引き受けや業務の不明点の相談解決、求人広告の割引、給与の計算と振込指示、各種税務指導、各種福利厚生(オーナーからクルーまで、補助金や提携企業の割引システムなど)、各種保険の団体割引などなど、本当に数多くのサポートがあります。また、業務中での事故でお客様に怪我をさせてしまったり、駐車場に停めてある車を傷つけてしまった時などに発生した損害金の保証(場合によって少額の免責が発生します)、消耗品以外の設備(本部が用意したもの)の設備修繕費がかからないという点です(物件を自分で用意する契約の場合は対象外)。高いチャージ払ってる分、補償制度も手厚いというワケです。「チャージ額に見合ってない!」という声は一度置いておきましょう。これはオーナーによるので。
デメリット
①加盟金とロイヤリティの発生
→これは、システム構築をした本部と、そのシステムを使って事業規模を拡大した加盟者が利益を分け合うという事ですね。当社の場合、自分の土地建物はなく全て借りていますが、平均すると取られるロイヤリティのパーセンテージは50%を下回っています。巷では様々な意見がありますが、このシステム自体は至極全うだと思います。事業モデルの仕組みと看板に、ロイヤリティという「対価」を支払って加盟店は利益を得るのですから。高い安いはありますが、ロイヤリティが正当な対価であるかどうかをきちんと見極めた上で、「FC契約」というルールの中で収益を最大化するのが加盟店のやるべき事でしょう。本部と加盟店のどちらかが正当な理由がなく一方的に利益を得ているFCは将来的に必ずなくなります。
コンビニ経営についても同じです。私自身はコンビニのロイヤリティを100%「不当」だとは思っていません。外からは見えない加盟店への様々なサポートや、保証内容を全て見ると、決して本部が不当に搾取しているとは思わないからです。
もちろん、
「こんなに手厚いサポートいらないから安くしてくれ!」
「サポートする本部のスーパーバイザーがまず能力不足じゃないか!」
なんて事は多々あります。ロイヤリティは安いほうがいいに決まってます。そのぶんオーナーの利益が増えるのですから。ですが、数多くいるオーナー全体の事を支えるという必要性から現在のサポート体制になっているのでしょう。私自身は、不当だとは思っていませんが「やりすぎ」だとは思っています。手厚いサポートと初期投資敷居を低く設定する事で参入障壁をなくして店舗数を拡大し、時折ハイエナのように他業界を食い漁って更に群れを大きくします。最近では叩かれすぎたせいか(笑)、契約形態にも幅が出てきています。契約年数が選べる、時短営業を選択出来るなどは有名ですね。ドミナント戦略で低日販店と分かっていても建てる店には、加盟店の収益が事業として成立するくらいまで限定的にロイヤリティを下げてくれる契約なんてのもあるかもしれません。
ここは私にとって重要な事なのでもう一度いいます。「あるかもしれません。」
あるとは言ってません、あるかもしれませんね。本部だってオーナーの人生背負ってくれていますから、潰れるのが分かっていてもそのまま出店させる事はしないです。少なくとも私の加盟する本部は、今はしているのを全く聞きません。
②発生する縛り
これはフランチャイズ契約が全てですね。契約書の内容で縛りが発生します。有名どころでいうと、「競業避止義務」ですね。Aのラーメン店に加盟した人がBのラーメン店に加盟すると違約金を払わなければいけません。コンビニの事例でいくと、他チェーンはもちろん、お弁当屋さん、パン屋さん、ケーキ屋さん、スーパーやドラッグストアなど、実に様々な業態が競業になるので、コンビニ加盟者が別事業をしようとするとけっこうな縛りが出ます。やる方法がないワケではありませんが。
また、仕入れ先などの取引業者は本部の指定した業者か、本部が認めた業者でなければいけなかったり、契約年数にも縛りがあり、途中で止めようとすると違約金が発生するといった内容もあります。
コンビニは特に厳しいイメージですね。最近ではセブンイレブンの大阪の乱が耳に新しいですが、揉め事はみんな聞きたいですからね。こういうのばかりキャプチャーされますが、平和なのも多いです。私の周りで事情があって中途解約をしたオーナーの中で、違約金払った人はほとんどいないです。というかゼロです。パートナーや家族が亡くなった方から、家族が障害認定を受けて奥さんが運営に参加出来なくなった方など、様々な事情で解約をするオーナーを見てきましたが、そのどれも違約金や解約金は免除してくれたとおっしゃっていました。
あるオーナーは、店舗駐車場周辺の掃除を「契約に掃除しろなんて書いてない」と言って全くしていませんでした。儲からないからといって駐車場でアイスやお弁当を自分で作ってワゴン販売していました。気持ちは分かるんですが、ビジネスの常識から逸脱していますね。このオーナーは最後に綺麗に満額の違約金を支払って辞めていきました。フランチャイズは看板の使用量も含まれます。世界中の会社がこの看板を育てるのに大量のお金と時間を費やしています。先ほど述べた事情とは全く違います。ちなみに、生活出来ないレベルの売上のお店を経営してるオーナーに対しては、本部は場所の移転や契約内容の変更等から、最低保証といって最低限の粗利を保証してくれる事もあります。ほんとにひどい低日販店も数多くありますが、オーナーの赤字は最低限本部の収益から補填してくれる事がけっこうあります。
まとめ
- 起業する方法は①ゼロイチ②事業継承③FC加盟の3種類しかない
- フランチャイズビジネスを始めるまでの流れ
- フランチャイズのメリットは既にある事業モデルがそのまま真似出来る事とサポートを受けられる事
- FCは契約が全て。契約内容は後で変更は出来ない事と、「競業避止」がある事を知ろう
- 契約は契約であって、やむを得ない事情でも違約金を払うケースは珍しいという事を知っておこう