コンビニ経営を何年もずっとやってきたけど、あとどれくらいやればいいのだろう・・・
将来不安だ・・・
ずっと続ける事は出来るのだろうか・・・
コンビニ経営を長くやっているとこんな事が頭をよぎる方も少なくないと思います。
私は10年以上コンビニ経営に携わってきました。まだたった10年ですが、それなりに色々な経験を積みました。
- 人手不足で家に帰れない日々が続いたり
- 赤字続きで身内から借金をするハメになったり
- 従業員にお金盗まれたり
- 従業員から嫌がらせを受けたり
- 本部の人間と揉めたり
巷で良く聞く事はほとんど経験してきました。
それでも今まで辞める事なく続けてこれたのは、メリットも少なからずあったからです。
コンビニオーナーが将来目指すべき姿について、私が思う事を書きます。
少しでも、この記事を読んでくださる方の役に立てば幸いです。
最初に結論を書きますが、私が思うコンビニオーナーが目指す将来の姿とは、
「経営者として法人成りし、事業拡大をする事」
です。
一般的なオーナー社長が目指す会社経営のゴール
会社経営のゴールは、2つだけだと言われています。
①売却
②廃業(倒産含む)
この本に会社について、とても分かりやすく書いてあります。
コンビニ経営はフランチャイズですから、一般的なオーナー社長よりも制限されています。
フランチャイズビジネスは本部が作り上げたシステムを借りて商売をします。そこには契約という縛りが発生します。いくら資産を築き上げても本部に主導権がある為、事業売却は容易ではありません。
実際にどういう制限があるのか、整理しておきましょう。
①売却
会社の売却の方法は、全てをまとめて売るか、一部事業を切り取って売るかになるかと思います。会社を何十年も何百年も続けるというのは、非常に難しいです。奇跡に近いでしょう。
コンビニに限らずFC加盟店というのは、最終的な決定権はほとんどが本部の判断にゆだねられています。
かみ砕いて言えば、本部が「売っていいよ」と言わない限り何も出来ないという事です。
本部の気持ちからしたら当然ですね。売却後も新しくオーナーになった方がお店を営業します。売却した事で経営が立ち行かなくなれば本部の収益は減ります。本部にとってメリットがあると認められない限り売却は難しいのが現状です。
売上や評判がその後落ちれば、しわ寄せが本部に来ます。
コンビニの事業売却については、別看板のチェーン同士では起こります。弱小チェーンが大手チェーンに買収される形ですね。しかしこれは、メガフランチャイズ契約といって、看板力の弱い本部が強い本部に吸収され、看板を変える形です。加盟店オーナーが他人に譲渡して、売却益を得る話は私は聞いた事がありません。
加盟店オーナーはお店を手放す時は「加盟契約の解除」をして、経営権を放棄する事が通常です。
出来ないとは謳っていません。しかし「本部が認めた場合」に限ります。よほど本部にとってメリットがないと売却は許可してくれないでしょう。現実的にはかなり厳しいのではないかと思います。
②廃業(倒産含む)
これはそのままです。お店をたたむ。キャッシュがなくなり経営不可能となって倒産する事です。
コンビニの場合、オーナーが経営不振で倒産をするというケースはないに等しいです。仮に赤字が続けばお店を改装したり、別の場所に移転して営業を続けられるように本部が対処してくれます。
また、売上がなくても最低限の収入を保障してくれる本部が多いので、負債が膨らんで破産するほど酷い状態にはなりにくいです。
ですので、ほとんどのオーナーが、「廃業」して事業をたたむというのが、ゴールになると思います。契約期間の満了を迎えずに解除すれば違約金を払う、満期なら契約更新をしないという選択をする。どちらにせよこれまで培ってきた会社の実績はお金に変わる事なく何も残りません。
コンビニオーナーは廃業しかゴールはないのか
コンビニの場合は事業売却は難しいことがわかりました。では、廃業(=やってきた事が資産として残らない)以外のゴールはないのでしょうか。
のれん分け制度
大手のコンビニはのれん分けのようなシステムを採用しています。FCでのれん分けといえば、本部が社員として雇った人間をオーナとして育成し独立させて、直営店を引き継いでもらったり、新店のオーナーになってもらう制度というのがよく聞くシステムです。CoCo壱カレーはのれん分けシステムで有名だったりします。
各社共に新たに独立したオーナーには研修費や出資金といったお金の免除があり、ローソンではオーナーにも220万円が紹介料として入るとうたっています。公式にはローソンしかうたっていませんが、「紹介料制度」は良く聞く話です。コンビニに入って欲しいテナントの地主を紹介したり、オーナーを通して独立したい人を紹介すると、紹介料が入ってくるケースがあります。レアケースではありますが、多少まとまった資金が回収できるので、使えるなら使うべきでしょう。
加盟解除をして残る資産
コンビニオーナーが辞める時に資産は残らないという言い方をしましたが、実際には満期を迎えて辞めるのであれば多少のお金は残ります。そのお金とは、「店舗の商品代」です。店舗も土地も借りている場合、そのオーナーのお金になる資産と呼べるものは店舗の商品在庫だけです。
コンビニは開業時、最初に用意する商品仕入代は500万円以上にもなります。このお金は本部が立て替えるのが通常です。この代金は営業をしながら少しずつ返済します。
契約満了まで運営を続けてきたのなら、建て替えてもらっていた代金は全て返却が終わっているはずですので、商品はオーナーの資産です。
商品全部持って帰るオーナーはいないでしょうから、閉店までに全て売ります。ですがこれを全て綺麗に定価で売り切るのは難しいので、商品代が全て満額手元に残るといったケースはあまりないでしょうが、それでも数百万のお金は手元に残るかもしれませんね。でもそれだけです。どんなに営業利益を出してようが、どんなに長く経営をしていようが、残る資産が増える要因にはなりません。
お金だけを資産として見た場合、悲しい事にそれが現実です。
オーナーに残る資産
10年、15年続けてどんなに頑張っても、資産が残る事にはなりません。ではオーナーには何も残らないのでしょうか。目指す終着点がある場所は暗いのでしょうか。
答えは「NO」です。
事業者としての経験が資産になる
コンビニオーナーは、FCに加盟しているとはいえ、事業者なのです。
小さいながら事業を持ち、経営の全責任を背負って、人を雇い教えて、売上を上げる為に必死に考えて、金勘定をするのです。その経験と知恵がオーナーの中に資産としてきちんと残るのです。
その経験と知恵を使えば、新しく事業を起こす事も可能です。
仮に、これが副業をしている会社員だった場合、
会社員はどんな副業をしていても、本業へ費やす時間を減らす事は出来ません。副業が大きく育って本業の収入を超えたら、本業を「退職」するという選択肢があるだけです。副業が忙しいから本業を自分の代わりの人にいかせる事は出来ません。
コンビニオーナーの場合は違います。本業である業務に支障が出なければ、社内で自分の代わりの人間を責任者として運営してもらい、別の事業をやる事が可能です。複数の事を同時にやっていても誰にも何にも縛られる事はありません(事業内容によっては競業避止の契約はあるのである程度の制約は出ます)。
オーナーはそれが出来るのです。
事業者視点を持つ事が大切
こういう考え方を持っているかどうかで、コンビニオーナーの未来は全く違ったものになってきます。
他の記事でも書きましたが、原則24時間365日営業であるコンビニの運営は、オーナーにとっては負荷が大きいです。負荷が大きいという事は、言い換えればやらなければいけない事が多いという事です。税務、会計、労働法律といった知識も必要です。また、コンビニオーナーは、看板の大きさと、売上高や取り扱い商品の多さだけを見れば他FCと比べて群を抜いています。その為、法律上守らなければいけない事、やらなければいけない事はとても多く、これを守らなければ本部に影響が出るので、本部の指導もかなり細かく信頼性が高いです。これは前向きに捉えれば、自分の知識の筋肉量を増やす環境としては最適です。こういった知識を全て自分の頭の中に入れる事が出来たら、そのオーナーの見える景色は以前とは全く違った景色になっている事でしょう。
もちろん、やりたいと思った事業の分野が「競業避止」の契約により縛りはあります。ですが競業避止とは「本部をいいように利用しないでね」という契約です。きちんとビジネスの義理を通せば問題になる事はほとんどないでしょう。
「本音と建て前」というやつです。
私が聞いた事があるだけでも、コンビニで経営力を身に着けた後に別事業を始めているオーナーはわりといます。
私自身、他の事業も小さいながらやっていますし、コンビニ本部と一蓮托生する気は毛頭ありません。お世話になった本部社員の方も少なからずいますし、仲違いをするつもりもないですが、自分の会社が立ち行かなくなった時、「本部のせいだ」なんて言葉は絶対に言いたくありません。経営者のはしくれとして、経営の失敗を誰かのせいにしたって何も変わりません。そうならない為に、色々なリスクや、可能性について考えておくのは会社や会社で一緒に働いてくれる従業員、また自分にとっての未来を明るくしてくれるはずです。
コンビニ経営をする事で、経営の基礎を経験し、そこから事業を広げる事で、それが成功すれば事業売却だって出来るかもしれません。
遠回りと言われるかもしれません。効率が悪いと言われるかもしれません。ですが、コンビニ経営をしているオーナー、そして運営に携わっている従業員の数は日本全国に何十万人といます。
モチベーションが続かず、暗い気持ちで経営をされているオーナーがいらっしゃったら、視点を変えてみましょう!今までやってきた事、今やっている事は決して無駄にはなりません。
せっかくオーナーとして経営をしているのですから、経験を活かし、会社員には出来ない事をして未来を明るくしたいですね。
まとめ
- 会社のゴールは「売却」「廃業」の2種類しかない
- コンビニをいくら続けても「お金」の資産は残らないが、経験は資産になる
- 経営者として経験を積んで、会社員には出来ないメリットを有効活用できれば、未来は明るくなる
- 会社員ではなく、事業者であるという意識を強く持っておこう