コンビニ運営ノウハウ

コンビニオーナーの闇①

「家族が亡くなってもオーナーはレジにいなければいけない」

「オーナーの労働時間はブラック過ぎる!」

「コンビニは本部しか儲からない」

などなど、世間でまことしやかに囁かれている「コンビニオーナーの闇」について、実際の現場で本当に起きている事なのか、実態はどうなのか。現場からお伝えします。

結論から言いますと、ニュースになるような事案は実際に起こった事です。また、私の周りでもそのような事は実際に起こった事としてよく耳にします。事件は本当に起こっているのです!

  • 闇①オーナーの長時間労働問題と収入
  • 闇②商品仕入れと廃棄の問題

これらについて実際のところはどうなのか、お教えします。本記事では「闇①オーナーの長時間労働問題と収入」についてを解説します。

闇①オーナーの長時間労働問題と収入

1か月の残業時間の過労死のボーダーラインといわれているのは、80時間とされています。会社員であるならば、労働基準法の元、労働時間や休日が保障されいますが、オーナーは保障されません。
 オーナーの残業時間は1週間で80時間を超えているなんて記事もあります。それ位働かないとオーナーの利益が残らないなんて話も。

私がこれまで見てきた範囲内で話をすると、これは事実です。ですが、全オーナーがこれに当てはまるワケではありません。私はそこまで働いていません。ブログ書ける位ですから。

この話の何が本当かと言うと、

①1店舗目の新人オーナー(お店の日販も高くない)

②経営の下手なオーナー

上記2つのケースはかなりきつい状況であるケースが多いです。

①1店舗目の新人オーナー(高収益店は除く)

新人オーナーは、土地建物を本部が用意し、自分で最低限の出資金しか払っていない場合です。どのチェーンもそうですが、店舗運営の長さや、抱える店舗数によってチャージ料は減額されます。新人の場合は減額がないんですね。セブンイレブンとファミリーマートは通常、5年を過ぎるとチャージが減額されます。ローソンは1店舗目のチャージは減額はされませんが、2店舗目からは総粗利益高に応じて2~6%減額です。

この、減額されるまでの期間の店舗運営は本当に大変です。日販に恵まれればいいですが、いわゆる低日販店だと収益を出すのが本当に大変です。別の記事でおおよその収益モデルを計算していますが、イメージとしては、夫婦2人で8時間ずつ週5で入っても手元に残るのは、人並みの「1人分の月給」です。普通に働いて2人で1人分の月給しか稼げないのだから、「闇」と言われるのも仕方ありません。長時間残業する事も厭わないオーナーがいるのも頷けます。

②経営の下手なオーナー

経営をした事がない新人オーナーの場合、経営管理能力も多少ずさんな方も少なくないので経費を削る余裕もあまりない方が多いようです。本部のスーパーバイザーも、全てを教えてくれるワケではありません。やるべき事、覚えるべき事が多すぎてそこまで余裕がないのでしょう。人件費、廃棄額は経費として大きいので、嫌でも意識するし、本部の指導もある程度入りますが。


 コンビニという特性上、取り扱っている全ての商品・サービスがどう収益に繋がっていて、何が経費になっているのかを全て把握するのは本当に大変です。眩暈がする程の膨大な資料を見なければいけません。そしてこれを全て完璧に把握しているスーパーバイザーは私は今まで一人も見たことがありません。オーナーですらそんな人はまれでしょう。時間がかかります。でも、把握しなければいけません。収益構造をある程度「予測・コントロール」できるくらいのレベルには達しなくてはいけません。

また、無駄な経費を徹底的にカットしなければいけません。

私の両親も、店舗を開いて最初の数年は大変だったと言っていました。次から次へと知らない事が出てくるし、「本部は何も教えてくれなかった」とも、笑い話として話しておりました。当時はきっと笑えなかったと思います。なにせ、私の両親が最初に開いた店は住宅地の中の立地なのにたばこの取り扱いがありませんでした。加えて低日販店で、本部もあまり期待していなかったようです。昔はそんな店も平気で出店していたんです。今は閉店して跡形もありませんが、そんな店を10年以上やり続けた両親には私も足を向けて寝られません。

まとめ

オーナーの長時間労働問題の真実

大変なのは分かっていただけたと思います。ですが私は、これを100%闇だとは思いません。

安易に参入するオーナーの姿勢も問題だと思っています。

どんな商売でも最初は大変です。商売をしていたら起こりうる事です。コンビニだろうが他のFCだろうが、自分で事業を起こそうが、オーナーというのは経営者なのです。

「どんな場所でどんな商売をし、初期投資がいつまでに回収できるのか」

通常の経営者はこれを必死で考え抜いて、不安要素はなくせるだけなくして、努力出来る事は全てを行い、それでも不安いっぱいの状況で、明るい希望に少し背中を押してもらう事で事業を始めます。どんな事業でも失敗する事はあります。うまくいかない事の方が多いでしょう。その努力をしていれば、ある程度は回避出来るはずです。

初期投資が低いのはオーナーだけです。本部は億に近い資金を出してお店を用意します。用意するだけです。オーナーにあげるとは一切言ってません。本部側の思惑もきちんと推し量るべきです。

出店場所を本部が決めるのなら、その立地でいいのかを自分で徹底的に見たり調べたりするべきです。知り合いのオーナーがいなくたって、そこら中にコンビニ建ってるんですから、わざわざ本部を通さなくても話してくれるオーナーは山ほどいます。自分が納得出来たのなら、そこで初めて契約をするべきです。

全て本部が用意してくれるFCの方が特殊なのです。土地探しも物件取得も、誰かに頼めばお金がかかります。「出来る経営者」なら自分できちんと判断するはずです。

そして、思った通りにいかないリスクを計算のうちにいれておくべきです。そのリスクを許容出来る算段が整ったら、初めて加盟金を支払って契約をしましょう。焦っても何も良い事はありません。

こういった事を考えずともコンビニは200万円程の加盟金を払えば数千万~の規模の設備がある店を出店出来てしまいます。大きくなりすぎた本部の中には「オーナーの人生」の事なんてひとつ考えない人もいるでしょう。そういう人間がいるというのは大変由々しき問題ですが、他のFCでも、FCに限らずとも、そんな人少なからずいるはずです。そして事業に失敗はつきものです。結果的に失敗し、生活が困窮したオーナーは、いつしか「コンビニの闇」と考えるようになるのです。

失敗したと思っているオーナーもいると思います。生活が困窮しているオーナーも少なくないでしょう。

でも、成功しているオーナーもたくさんいます。まずやるべき事は経営努力です。どうすれば収支が改善するか、徹底的に分析し、1円でも売上を上げ、1円でも利益を多く取る事です。その為に本部を徹底的に利用しましょう。全力で相談しましょう。その為の「加盟」であり、その為に高いチャージ料を毎月払っているんです。その姿勢を鼻で笑う本部の人間がいたら全力で喧嘩しましょう。そんな人はそのうちいなくなっているはずです。

収支改善の為にやるべき事は別の記事で解説します。