コンビニ運営ノウハウ

コンビニオーナーの仕事

「オーナーっていつも何やってるんだろう」

「いつもバイトに仕事させて自分はふらふらしてていいなぁ」

「いつも険しい顔しててオーナーなんてやるもんじゃないなぁ」

なんて、オーナーに対するイメージは様々あると思います。

実際にコンビニのオーナーが何を考えていて、何をしているのかお教えします。

結論からいうと、「経営への意識」が高いかそうでないかでオーナーの働き方は変わります。

コンビニオーナーの働き方

オーナーは、「経営する権利」を持っている人です。

お店の収益も損益も、ぜんぶオーナーのものです。ルールの範囲内なら、自分のものをどうしようが誰も何も言う権利はありません。

儲かっていれば遊んでていいんです。そんな生活したいですね。

儲からないというイメージが強いコンビニだって、レジには入らず1日1時間発注だけして帰るオーナー、土日祝日は絶対にお店に来ないオーナー、お店に顔すら出さないオーナーなど、私が知ってる範囲でもそういう人は実際にいます。わりといます。

例1.過酷そうなオーナー

シフトに入っている時間も長時間。空き時間もタブレットでピコピコ…。新人に一生懸命教えている、などオーナーに過酷そうなイメージを抱く方も多いと思います。実際に私の周りでも

「オーナーが家で休んでる間もしょっちゅう電話がかかってくる」

「オーナーしか出来ない仕事があるので、365日必ずお店に行く」

「オーナーがいないと問題(トラブル)が起こる」

など、おちおち寝ていられないオーナーもけっこういます。

  • 例えば、レジの使い方が分からないという従業員からの電話
  • 例えば、お客様から問い合わせがあって対応がわからないとの電話
  • 例えば、従業員がドタキャンして欠員が出たとの電話

お店からの連絡は後を絶ちません。24時間営業ですから、問い合わせも24時間いつでも起こります。

ちなみに今はどのチェーンもコールセンターを設置しているので、責任者がいない時間帯でもコールセンターに問い合わせれば、ほとんどのトラブルは解決してくれます。

新人オーナーであったり、経営の意識が低いオーナーはこういう状況になっている事が多いです。

例2.楽してそうなオーナー

  • シフトには入りません
  • ふらっと顔出ししてすぐ帰ります
  • すぐどっかいっちゃって、どこにいるか従業員は知りません

こういうオーナーもけっこういるんですね。従業員からは「サボっている」と烙印を押されるオーナーも少なくありません。

オーナーというと、こういうイメージを持たれる方も多いでしょう。そうなりたいと思ってコンビニに加盟する方もいまだにいます。

彼らは仕事していないワケではありません。オーナーとしてきちんと仕事をこなし、役目は果たしています。

「経営への意識」が高いので、余計な仕事はしません。経営を良くする為に、必要でないことは全てカットして専念できるようにしています。

経営への意識

コンビニは、取り扱い商品やサービスの多さや24時間営業という形態上、情報過多になりがちです。

  • お店に置く商品の選択や、その商品の情報の調査(コンビニの取り扱い商品数は数千です。)
  • サービス内容の変更(公共サービスやチケット販売等、コンビニで出来る事は本当に多く、そのサービスの一部変更や改廃、エラー情報など、毎日のように情報が届くので、従業員にシェアしてお客様に迷惑が掛からないようにする等の対応も必要になります。)
  • セールの情報や準備(事前の発注と、セールの売場を特設しておく。どれくらい売れるか考える。コンビニのセールスケジュールは、M‐1で優勝した直後の芸人さんと同じくらいパンパンです。休みなく様々なカテゴリでずっとセールをしています。)

店舗のPCにはこういった情報が全て入っています。この中から自店に合う施策、商品を探す必要があります。 有益な情報だけをピックアップして、それ以外は上手に「スルー」していかなければいけないのですが、 全てを処理しようとして、自店に必要な情報も「後回し」にしてしまう人が出てきます。

「スルー」と「後回し」は全く違います。取捨選択が出来ず後回しをするクセがついてくると、対応が後手になり、余計な仕事が増えて余裕がなくなっていきます。こうした事が常態化しているオーナーの環境は過酷である事が多いです。

うまい経営をする為に意識すること

経営に専念する環境を作り出す為に、強く意識しなければいけない事があります。それは、

「仕組み化する習慣をつける」

という事です。

「1000の言葉より1つの仕組みづくり」

という言葉があります。どれだけ丁寧な言葉を並べて指導しても、1つの出来上がった仕組みには敵いません。

例1.発注のシステム化

お店には、お客様が購入する商品以外にも、レジ袋やはし、スプーン、ホットスナックを入れる袋から清掃に使う洗剤や道具まで、数多くの消耗品があります。

これらの消耗品は販売実績としてPOSレジに記録する事が不可能な為、在庫を確認してその都度発注しなければいけないのですが、この手間がけっこう大変です。

オーナーが一人でやっていたこの業務をシステム化しました。

  1. 必要な消耗品とその消耗品がいくつあればいいかのリストを作成
  2. 他の業務に支障が出ないよう配慮して、発注する曜日と時間を決めて固定する
  3. 発注する時間に勤務するスタッフに全員で共有してもらい、発注してもらう

ここで重要なのは「人に仕事をつける」のではなく「時間に仕事をつける」という事です。これを意識する事で発注担当者が不在でも消耗品の在庫はなくなりません。また、複数人で管理してもらっているので、「漏れ」があっても相互フォローが出来ます。

例2.釣り銭管理のシステム化

レジに入れておく釣り銭は、なくなりそうな金種があればその都度予備の釣り銭と両替をします。

お金の管理ですので、オーナーやそれなりに責任のある人にしか任せていないというお店も多いかと思います。

これも管理者に手間が集中し効率が悪いです。

  1. 両替のルールや、鍵の管理方法を決めて全員でシェアする
  2. レジ締めをする人に釣り銭の管理をしてもらい、過不足がないかチェックする

レジ締め作業も、一人に任せるのではなく必ず複数人で交互にやってもらいます。ルールがシェアされている事で、ミスがあってもすぐに修正できます。また、相互監視があるため悪い事をしようという意思も働きにくくなります。

お金の管理なので不安だという方もいるでしょうが、例えば多店舗展開をした時、別事業に専念する時間をつくらなければいけなくなった時、別の誰か1人に任せるのは危険です。仕組みが出来上がっていれば複数の監視がある為、ミスもトラブルも起こる可能性は下がります。

仕組みづくりがないと、オーナーやスタッフ個人に負担が偏ることになります。

仕組みづくりが出来ていれば進捗のチェックだけで済むので、時間の捻出ができます。また、全スタッフ、別店舗に水平展開できる利点があるため、事業拡大がスムーズになります。

一つ一つは単純で簡単な事なのです。例えばこの2つの業務がオーナーの作業時間から除外して1日30分の時間が作れたとします。1週間で3.5時間、1年で182.5時間、1週間分の時間捻出です。

仕組みづくりが意識されているかどうかで、オーナーはよりよい経営を考える時間に費やしたり、将来への事業拡大を視野にいれて日々動く事が出来るようになります。

オーナーの仕事とは

オーナーの仕事とは、「経営」です。

経営は、利益を出す事が最優先です。社会貢献も、顧客満足度や従業員満足度を上げるのも、利益が出ていなければ出来ません。その為に必要な事はなんだってします。

自分が経営に専念出来るような環境を整える為に必死なんです。

ときに、過酷な状況にいるオーナーを「努力している」と称える人がいます。

「あっちのオーナーは頑張ってるのにうちのオーナーは…」なんて言う店舗スタッフもいます。

実際に私も言われた事もあります。でも、経営をちゃんとしている人はそんな言葉を言われても気にしません。頭の中は「どうしたらもっと良くなるか」を考える事に必死で、それどころじゃないからです。経営を長く続けているオーナーは全員そうだと思います。

私も、ふらっとお店によって、スタッフと雑談だけして帰る事も少なくありません。はたから見たら何しにきたんだと思われますが、スタッフがどんな顔で働いているかを見て、お店の環境や抱えるトラブルを把握する事で改善に繋げます。

昔からの馴染みのお客様が来たらそのままどこか遊びに言ってしまう事もあります。これは実はその馴染みのお客様がある施設の方で、定期的に大口の予約をして下さっていたりする為、一見遊んでいうように見えても、お店の売上や収益には必ず繋げています。

まとめ

  • オーナーは働く環境が過酷な人も遊んでいるように見える人もいる。
  • 「経営への意識」があるかないかで環境は変わる
  • 仕組みづくりの大切さを知って、常に意識して時間の捻出をしよう
  • 時間を捻出したら全てを経営する時間にあてよう