「家族が亡くなってもオーナーはレジにいなければいけない」
「オーナーの労働時間はブラック過ぎる!」
「コンビニは本部しか儲からない」
などなど、世間でまことしやかに囁かれている「コンビニオーナーの闇」について、実際の現場で本当に起きている事なのか、実態はどうなのか。現場からお伝えします。
結論から言いますと、ニュースになるような事案は実際に起こった事です。また、私の周りでもそのような事は実際に起こった事としてよく耳にします。事件は本当に起こっているのです!
- 闇①オーナーの長時間労働問題と収入
- 闇②商品仕入れと廃棄の問題
これらについて実際のところはどうなのか、お教えします。本記事では「闇①オーナーの長時間労働問題と収入」についてを解説します。
他の記事で闇①「オーナーの長時間労働問題と収入」については書きました。
今回は闇②の「商品仕入れと廃棄の問題」について書いていきます。
商品仕入れと廃棄の問題
「オーナーが廃棄をしても本部は儲かる」
というのを聞いたことがありますか?
例えば、150円のおにぎりをオーナーが仕入れるとします。そのおにぎりの原価を100円とした場合、その100円の中に本部へのマージンが含まれているというのです。という事は、オーナーが仕入れを増やせば増やすほど、本部にはお金が入ります。仕入れ価格にも本部へのチャージが含まれているといったら分かりやすいかもしれません。
これは本当です。というかFCビジネス界隈では割と普通に行われている事です。
「チャージ0円!」と謳っている本部も数多くありますが、こういう本部は、仕入れ代に上乗せして加盟店から収益を回収して賄っていたりします。また、仕入れ先は本部の認めた業者からでないと卸してもらえない為、加盟店が使いたい仕入れ先があっても認めてもらえない事もしばしばあるようです。本部目線で話せば、変な仕入れ先の商品仕入れさせて、何か問題が起きたら看板に傷がつくし、他の加盟店に迷惑が掛かる。という事です。コンビニはどっちもしっかりと取るので、本部側としては、商品を仕入れてもらえば、原価のいくらかと売上のいくらかをダブルで得られるという事ですね!搾取されている感が満載です。
FCの仕入れとは
FCビジネスは、本部と加盟店がタッグを組んで独自性の高い商品やサービスを提供していくビジネスです。商品・サービスに独自性がなく、簡単に真似出来るようであれば意味がありません。加盟しなくても出来るなら自分でやった方が利益を独占出来ます。真似出来ないからFCが成立するのです。
コンビニは、チェーンオリジナルの商品もありますが、置いてある商品の多くはどこでも買えるものです。そして、ここ大切なのですが、商品仕入れ先の追加は割と認めてくれます。
例えば、地域原産のお土産や食材。近所で有名なアイス屋さんのアイス。取り扱いのない酒類。新聞や本だって認めてくれます。ここで認められないのは、
- ①店舗で加工が必要な商品(店舗でケーキ作るとかは設備もないし保健所の認可もおりていないのでNG)
- ②商品の品質が本部の基準にあっているもの(バーコードやサーマル記載があるもの)
→サーマル記載とは、生産者や原材料、消費期限等がお客様に分かるように記載する事です
のケースが多いです。
当社も色々やってきました。地域のお土産だったり、ブランド牛の冷凍パックだったり、アイス、お酒などなど、いくつかの業者さんとお付き合いをさせてもらってきました。
やってみると分かるんですが、本部の仕入れ自体はそこまでぼったくってないというのが私の結果的な印象です。お酒を仕入れた時にとても感じました。
近所の酒屋や、全国どこでも届けるネットの酒屋だったりと、酒屋は全国どこでもあります。そこで、取り扱いのないお酒を仕入れた事があったんです。私の好きなウイスキーがいつでも買えるように笑
その時はネットで見つけた酒屋が一番楽で金額も安かったので、ネットで注文してたんですが、そこで私は邪な考えを起こします。「通常置いてあるお酒もここで安く頼めば、利益増えるんじゃないか」と。色々と検索し、計算した結果、普通に本部推奨仕入れ先から卸してもらうのが一番いいとなりました。
コンビニって、最も凄いのが物流の力だと思うんです。毎日毎日、あらゆる商品が1個~でも数百でも決まった時間に必ず届くんです。配達料なんて取られません(チャージに入ってるんでしょうが)。
酒屋で頼むと、もちろん配達料を取られます。一度に大量に頼めば無料にしてくれるところもありますが、私が見たところは最低20単位で頼まないと無料になりませんでした。ウイスキーなら20本。ビールなら20ケースです。それくらいの単位で頼めば、本部より数%安く仕入れる事が出来ました。しかしこれだとコンビニ1店舗で消化するには効率が悪いです。コンビニの敷地面積は狭いため、少し安いからと大量に仕入れれば場所はあっという間に埋まります。そしてコンビニが常時置いておく商品の種類は千を超えます。コンビニは、回転率と最小単位での納品が、簡単に迅速に行われるシステムがあってこそ成立するんですね。大量に仕入れれば原価はもちろん下がりますが、それだとスーパーやドラッグストアのような面積が必要です。コンビニという業態では成立しないのです。
頼めば1個でもすぐ持ってきてくれて、配送料も取らない仕入れ業者なんてどこにもいません。それを可能にしているのがコンビニの物流システムであり、その物流システムの管理費もチャージに入っているというワケです。
仕入れの強要
本部が加盟店に仕入れを強要するといったニュースもちらほら起きています。
これは、本部は出来ないんですね。独占禁止法で禁止されています。本部も今は特に気をつかっていて、こちらが頼んでもやってくれないほどです。ただ、実際にこういう事はおきます。
担当のスーパーバイザーとの信頼関係が出来上がっていれば、これは何も問題はないのですが、たまに、勘違いしているスーパーバイザーがいるんです。恋愛でいえば「俺の事好きでしょ?そうでしょ?」と厚かましく言っちゃう人ですね。これは事件です。その後必ず「その方が絶対に君の為なんだ!」と本気で言ってきますから。そういう人は平気で発注したりします。オーナーや店長の知らない間にお店に電話してアルバイトに発注頼んだり、自分で発注してそれを報告しなかったりします。そして本人は「今日もいい仕事したな~」と思ってるんです。私の過去の担当もそういう人がいました。いつものように今日の冷凍便の納品リストを見ていたら、発注した覚えのないハーゲンダッツの商品が400個。慌てて担当スーパーバイザーに電話すると、「あ、忘れてた」と衝撃の一言。その時はその後すぐにお店に来て売場作り、納品、売り込みまでやってくれて(当然ですけど)、完売させたので良い思い出話になりました。
これがこじれると大問題になるんです。現にそのスーパーバイザーは他店のオーナーとしょっちゅう揉めてました。それが重なって移動していきました。
私はこの担当とウマが合ったので仲良くさせてもらっていましたが、一般的にはアウトですね。
割と前になりますが、ファミリーマートの澤〇社長も、おたくは本部が勝手に発注していないかとメディアに問われ、「うちは絶対にありません。」と答えた数日後、勝手に発注している社員が出て叩かれてましたね。
そりゃそうですよ。本部は「厳禁」としてますから。
こういう人、本部にはけっこういます。そして、たぶんいなくなることはないでしょう。こういう人ってなぜか仕事に情熱を持ってたりしますからね。皆さん、本当に気を付けましょう。
本部は、大々的に推したい商品や、PRがある商品についていつもより多く発注してくれませんか?とよく提案してきます。これは当社の場合ですが、今はそういう商品の発注については強制はされません。数も自由に決められます。そして、大量発注して大量廃棄になったら、多くの場合本部はその廃棄額を特別に負担してくれます。こういう時は、損失が許容できる範囲で本部に協力してあげる事をおすすめします。商品売りたいのは本部も加盟店も同じです。商売やってるんですからね。
前回の記事から、コンビニの闇といわれている実態を私なりの解釈をしてみました。
昔は悪質な事も行われていたようですが、今は時代が違います。コンビニ本部は大変叩かれやすい為、最新の注意を払っているのは確かです。チャージが高いのも周知の事実です。ですが、それなりに高い理由があるのも確かです。全てを批判する前に、なぜチャージ料が高いのかを自分なりに考えてみるのをお勧めします。それでも無駄を省いてもっと下げられるかもしれません。が、ここまで大きくなると難しい事もあるのでしょう。政治も同じような事やってますしね。チャージ率が高い背景をきちんと理解して、最大限チャージを払う見返りを得る事が大切です。
まとめ
- 加盟店が本部の推奨仕入れ先から商品を卸してもらう時は、その商品代にもチャージが加算されているが、それはぼったくっているワケではない。
- コンビニ業態では、大量仕入れは向いていない。最小単位の納品を最速で行う物流システムを突き詰めているので、効率を考えると推奨仕入れ先から仕入れたほうがいい場合がほとんどである。
- 仕入れの強要については、今でもやってしまうスーパーバイザーはいる。そういう人が担当になったら自分が損をしないように細心の注意を払いましょう。